日本感情心理学会第10回大会記念シンポジウム

「日本の感情研究:昨日・今日・明日」

日  時:第1部 2002524日(金)15:45-17:45

2部 2002525日(土)14:30-17:00

場  所:宇都宮大学大学会館2階「多目的ホール」

企  画:日本感情心理学会企画運営委員会

総合司会:大平英樹(名古屋大学)

 

 日本感情心理学会は,1993年に同志社大学で第1回大会を開き,本年で10周年を迎えることとなりました。このたび日本感情心理学会企画運営委員会が,記念すべき本大会でのシンポジウムを企画することとなりました。委員会では,足かけ2年にわたる準備期間をおき,「日本の感情研究:昨日・今日・明日」という統一テーマをかかげ,2部構成のシンポジウムを企画いたしました。第1部では,戦後日本の感情研究をリードし,日本感情心理学会創設へむけて,多大の御貢献をされてきた先生にお集まりいただき,若手世代へのメッセージをお願いすることとなりました。第2部では,これからの感情研究をリードしていくであろう若手研究者の中から5名の先生方にお願いし,それぞれの研究内容を紹介していただき,これからの感情研究のあり方について議論していただくことといたしました。またその議論の内容は,第1部の結論(若手研究者へのメッセージ)を受けたものとなることを予定しています。また個々の先生方の発表内容は,「感情心理学研究」に論文として掲載予定となっております。

 本シンポジウムでは,特に第1部の先生方については,実にご多忙のなかご無理を申し上げ,御参集いただくこととなりました。第10回大会にふさわしいものと自負しております。会員の皆様におかれては,是非ともご参集いただくようお願いいたします。

 なお本企画は,大会主催校,日本感情心理学会事務局,さらに「感情心理学研究」編集委員会の全面的な協力により実現のはこびとなりました。ここに感謝申し上げます。(日本感情心理学企画運営委員会を代表して,今田純雄)。

 

1部「感情研究の創生期−語りつたえたきこと−」

司会者:浜 治世(同志社大学・文京学院大学)・大平 英樹(名古屋大学)

演 者:              

大山 正博(東北大学) 

松山 義則(同志社大学) 

今田  寛(関西学院大学) 

春木  豊(早稲田大学)

辻 敬一郎(名古屋大学・中京大学) 

山岡  淳(日本大学・文京学院大学) 

三宅 和夫(北海道大学)

祐宗 省三(広島大学・武庫川女子大学) 

宮本美沙子(日本女子大学)

(順不同)

日本感情心理学会理事長である浜治世先生の司会により,日本感情心理学会初代理事長の松山義則先生をはじめ,日本感情心理学会の発足とその後の活動に多大の貢献をされてきた先生方にご参集いただき,「未来へとつながる過去」について座談会をしていただく。ウイットとユーモアに富んだお話し,次世代,若手世代へ向けたきびしいお言葉など,中身の濃い,興味深いお話をしていただけるものと期待される。若手世代からみると,「お名前は存じ上げているが,直接にお話を聞いたことはない」(おそれ多くて近づけない)先生方である。このシンポジウムを通じて,研究への情熱に世代の違いはないこと,科学研究の成果は世代を越えて受け継がれ,発展していくものであることを実感していただければ幸いである。

 

第2部「感情研究の新世紀−受け継ぎしこと−」

司会者:門地 里絵(三洋電機株式会社)・大平 英樹(名古屋大学)

演 者:              

有光 興記(広島修道大学)「質問紙法による感情研究」

竹原 卓真(同志社大学)「表情から感情を読み取る:その代表的モデルと複雑性」

佐藤  弥(京都大学)「扁桃体損傷による情動表情の認識障害」

野村 理朗(日本学術振興会)「神経イメージングによる感情心理学研究」

佐藤  徳(東京大学)「情動調節の神経機構について」

(発表順)

 

 およそ研究の進展には,従来の理論的・方法論的枠組みの中での知見の蓄積や精緻化の時期と,パラダイム・シフトによる劇的な展開の時期がある。感情研究は,今まさに後者の時期を迎えようとしている。それは統計的技法,特に多変量解析技法の進化による質問紙法研究の威力増大,コンピュータ・グラフィックス技法の発達による表情・動作解析の可能性増加,そして脳損傷研究や神経イメージング技法に代表される神経科学的感情研究の幕開け,などによって後押しされている。重要なのは,単に新たな研究の方法論を導入するだけでなく,そこから従来にはなかった感情観・人間観を構築・提唱していくことであろう。本シンポジウム第2部に登場する5人は,これらのニュー・パラダイムを自家薬籠中のものとし,縦横に使いこなして,新たな地平を拓きつつある新進気鋭の研究者達である。彼らの若い力が,我が国における感情研究をリードしていくであろうことは間違いない。ここでは,彼らが現在推進しつつある研究と,将来の感情研究における夢を自由に語っていただき,活発な議論を展開したい。